「舌診について」

堀本 隆久


この文章は1999年3/11日メーリングリストで、
 舌診についての質問がされたことについて、堀本先生が答えた文章です。

舌診は、中医学的に重要な診察項目のひとつであり、私も診察
時には必ず見ています。
 
 見方としましては、まず正常な舌{  例えば健康な乳幼児など}
をよく覚えておいてください。 
  正常な舌が解れば、判断がしやすくなります。

 診るべきポイント
1, 生き生きとした色と艶があるかどうか
2, 舌の色、 白いのは元気不足で体が冷えている。
         赤いのは熱がある、徹夜や夜更かしをすると 
         すぐに赤黒く変化する。
         紫や青色をしているのは体の血液循環になにか
         異常がある。生理異常のある女性に特に顕著。
          中医学的には「 オ血 」 といわれている。
         富山医薬大の寺澤先生の研究が有名。
3, 舌の形
        舌面のきめが粗く、堅くしまった感じのする舌
        これを老舌とよび、急性で痛みの激しい疾病に出て
        来やすい。
        のっぺりとしたはれぼったい舌、これは体内に水分
        が過剰にある状態にでる。飲み会の次の日は、
        大抵こうなる。すこし胃腸が疲れている。
        舌に、歯の痕がつく。 これは体の元気不足。
        舌に、溝やひび割れがある。これは体に熱がこもっ
        ている場合が多い。
4,舌の苔の色
        薄く白い苔は正常だが、体が冷え込むと厚く量の
        多い白苔がでてくる
        黄色の苔がある、胃腸が弱っている兆候。
        黒い苔 重度疾患でかなり危ない人にでる。
5,舌の苔の厚さ
        薄く苔を透けて舌本体がみえれば正常。
        苔がべったり厚ければ異常。飲んべえの人に出や
        すい。
        ただし適度な湿り気も、また必要。


  以上、大ざっぱに書きました。病気が回復過程になると、舌
のほうも良い方向に変化していきます。上で書いた黒苔もきれい
に無くなってきます。 その逆に、病気が悪くなってくると
とたんに舌も悪くなってきます。 舌は、体調の変化が投影されや
すいといえるでしょう。舌診を勉強される方は、毎日自分の舌を
よくみてください。舌は毎日少しずつ変化しています。体調の良い
時の舌、悪いときの舌、必ず違って見えてくるはずです。
 それが解ってくれば、次に親しい人や家族の舌を見てみましょう


 *舌診の参考図書*
 
 舌診の参考図書となると漢方&中医学関係がほとんどです。
中医学の基礎知識がわかれば、読みこなすのも簡単になります。
 以下にあげたのも、すべて中医学関係の本です。

 `中医臨床のための舌診と脈診 
   神戸中医学研究会 編著 医歯薬出版 ¥6000円 税別
   =これは入門書です。

  日中共同研究 原色 舌診弁証図鑑
    矢野忠序  丸山彰貞・張洪義・王守真 共著共訳
   エンタプライズ   ¥定価20000円 
   =これはたくさんのカラー写真が載せられています。

  原色漢方舌診法  三谷和合著 自然社 ¥7000円
  舌診臨床症例集      同上  同上  ¥7800円
   これはあまり見やすいカラー写真ではありませんでした。


編集者より。
固有名詞を出すのが憚られると思われる部分は勝手ながら仮称、仮名とさせていただきました。
また、内容の大意に佐賀でないと思われる部分は割愛させていただきました。


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